高いけど、試さずにはいられなかった。
モノがあふれる時代。バックパックもある程度の価格帯になれば、どれを選んでも満足できる仕上がりになっています。
特に最近手に入れた「Aer City Pack Pro 2(20L)」はサイズ感も申し分なく、理想のバックパック探しはひとまず終わったように感じていました。

そんな中、どうしても「これはちょっと使ってみたい」と思わせられたプロダクトがあります。

一見すると、よくあるシンプルなバックパック。見た目はかっこいいものの、6万円を超える価格を考えると、購入には勇気がいります。
しかし、素材に使われているダイニーマ。これがかなり魅力的なんですよ。
NAKANOまさに僕がバックパックに求めていた素材そのもの。試さずにはいられませんでした。
究極の素材「ダイニーマ」の魅力


DIRACには「ダイニーマ(Dyneema®︎ Composite Fabric)」という素材が使われています。
アウトドアギアの世界では「究極の素材」と有名なようですが、僕はDIRACをきっかけに知りました。



何この素材……?
そう思っていろいろ調べてみると、これがなかなか魅力的なのです。
羽のように軽く、どこまでも強い


ダイニーマの魅力を語るうえで、まず外せないのが「軽さ」と「強さ」です。
NOMANZ_GEAR公式サイトでは、以下のように説明されています。
表面素材のDyneema®︎ Composite Fabric Hybridについて。
超高分子量ポリエチレン繊維を用いた特殊なコンポジットファブリックで、ダイニーマ®繊維は同重量比で鋼の約15倍の強度を持ち、水にも浮くほど軽量。
過酷な環境にも耐える耐久性と、紫外線にも強い安定性を兼ね備えた、現代素材の到達点のひとつです。引用元:NOMANZ_GEAR
水に浮くほど軽いのに、鋼よりも強い。これがダイニーマという素材です。
バックパックは荷物を入れて背負うものなので、本体は軽ければ軽いほどいいと僕は思っています。
ただ、どれだけ軽くても、紙のように破けてしまうのも困りますよね。



毎日使うなら、ラフに扱っても気にならない丈夫さもほしいです


街使いがメインのバッグでも、意外と生地に負荷がかかる場面はあります。
- 駅のホームで床に置く
- 飛行機の荷物棚に押し込む
- 混雑した場所で周囲の金具と擦れる
- ガードレールや街路樹に引っかける など
毎日使っていると、こうした「ちょっと雑な扱い」は積み重なっていくものです。
だからこそ、「軽いのに強い」というダイニーマの特性はバックパックとの相性が抜群。
しかも、雨や汚れにも強い。究極の素材といわれる理由にも納得してしまいました。
使い込むほどに、愛おしくなる


ダイニーマは、”ただ軽くて丈夫なだけではない”点にも強く惹かれました。
使い込むほどに表情が変わっていく「経年変化」も楽しめるみたいなんですよね。
新品のダイニーマはパリパリとした硬さがあるのですが、使い込むうちに折りジワが増え、しなやかでくったりとした質感へと変化するようです。
この見た目の変化を”劣化”と捉えて嫌う人もいるようですが、僕はむしろ、自分だけの道具になっていくようで好きなんですよね。




正直、軽さや強さだけを求めるのであれば、X-PacやUltra、リップストップナイロンなど、ほかにも優れた素材はあります。
実際、僕が愛用しているAer City Pack Pro 2にはX-Pacが使われていますが、軽量性や耐久性に不満を感じたことはありません。


普通に考えると、街使いメインのバッグに使う素材としてはオーバースペックです。
それでもダイニーマに興味を持ったのは「使い込んでいく楽しみがある」と知ったから。
機能性だけでなく、時間とともに愛着まで育っていく。そんなところに面白さを感じています。
ダイニーマを纏った都市型バックパック「DIRAC」


ダイニーマは、過酷な環境で使われるアウトドアギアに採用されることが多い素材です。
そんなハイスペック素材を、街で使いやすいバックパックに落とし込んでいる。
それが、NOMANZ_GEARのDIRACです。


NOMANZ_GEAR(ノーマンズギア)は、カバンレビュー系YouTuberのリュークさんが2025年1月に立ち上げたブランドです。
正直に言うと「まだ信頼のないブランド」「それもYouTuberのプロダクト」に6万円を超える価格を払ってもいいものか…と、かなり悩みました。
ですが、実際にポップアップで手に取ってみると、その印象が一変します。
▼ポップアップはコレクターズで開催されていました(現在は一部店舗で常設されているみたいです)。


特に驚いたのが、ダイニーマの質感。
公式サイトの写真や紹介動画からは、少しマットで無機質な素材という印象を受けていました。
ところが実物は、ほどよく光沢があり、細かなラメのような表情も見える。想像していたよりもずっと高級感がありました。


さらに、シルエットの美しさや、一般的なバックパックにはない独特な収納にも惹かれ、気づけば「一度試してみたい」という気持ちが勝っていました。
というわけでここからは、NOMANZ_GEAR DIRACを使って感じた魅力をレビューします。
Nomin Packを彷彿とさせる美しいシルエット


DIRACに興味を持つきっかけはダイニーマ素材でしたが、購入の決め手になったのは「シルエットの美しさ」です。
僕が最も美しいと思っているバックパックに、ARC’TERYX VEILANCEの「Nomin Pack」という製品があります。


何度も購入を検討しましたが、悩んでいるうちに価格が13万円を超えてしまい……。さすがに手を出せなくなったんですよね。



しかも現在は終売に……。
DIRACは、そんなNomin Packを彷彿とさせる丸みを帯びた薄型のシルエットが特徴です。


実際に背負ってみても、やっぱりこの形は収まりがよくてかっこいい。ダイニーマの軽さも相まって、背負うたびに気分を高めてくれます。
正直、DIRACは「使いやすいバッグ」ではありません。後で詳しく書きますが、使っていてストレスを感じることも多い製品です。
ただ、多少の不便さがあっても、それ以上に「これを持って出かけたい」。そんな理屈だけでは割り切れない魅力があるんですよね。
14Lから18Lへ。ありそうでなかった絶妙なサイズ感


もうひとつ心を掴まれたのが、14Lから18Lへ容量を拡張できるところです。
普段は薄くて美しいシルエットのDIRACですが、専用ファスナーを開けることで、バッグの上部に新たなスペースが生まれます。




この「必要なときにだけ容量を増やせる」のは、ミニマリストの僕にとってかなり魅力的でした。
僕はできるだけ、ひとつのバッグで何でも済ませたいと考えています。出番が少ないものを持ちたくないし、荷物の詰め替えも面倒だからです。
なのでこれまでは、日常でも少し大きめの20L前後を選んで使っていました。
一般的には、20L前後でもコンパクトな部類に入るのかもしれません。
でも持ち物が少ない僕は、20Lでもやや大袈裟に感じていたんですよね。
- MacBook
- iPad mini
- iPhone
- モバイルバッテリー
- 薄手の羽織もの など
その点、DIRACなら、普段は14Lでコンパクトに使い、荷物が増えれば18Lまで収納力を増やせます。


僕は18Lもあれば1週間の旅行にも行けてしまうので、この拡張機能を使えば、日常も旅行もひとつのバッグで気持ちよく過ごせてしまいます。


以前、Able Carryの「Thirteen Daybag」を愛用していました。13Lの容量が日常使いにちょうどよくて、今でも忘れられない製品です。


DIRACはそんなThirteen Daybagに、必要なときだけ容量を広げる機能が付いたような感覚。
まさに「これを待っていた」。
この絶妙な容量と拡張機能を形にしてくれたリュークさんには本当に感謝しています。
iPad miniが、どこからでもサッと取り出せる


トップポケットとサイドポケットが「iPad miniサイズ」である点も嬉しいポイントでした。
詳しくは以下の記事に書いていますが、最近になってiPad miniを持ち出す頻度が増えたんですよね。
これまでのバッグでは、メインコンパートメントやタブレットポケットに放り込むしか、iPad miniの収納方法はありませんでした。
▼一般的なバックパックのiPad mini収納方法




でもその収納では、電車内やちょっとした待ち時間で使いたいときに、いちいちバッグの奥に手を突っ込んで取り出さなければなりません。



取り出すの面倒だし、別にスマホでいいか。
そう感じることが多く、せっかくiPad miniを持ち歩いているのに、そのコンパクトさを活かした使い方ができていませんでした。
その点、DIRACなら「2つのトップポケット」と「両サイドポケット」にすっぽり収まります。






電車で座ったときにサッと取り出して、漫画を読んだり、仕事の資料を確認したりできて便利です。
しかも「定位置はここ」と決まっていないので、荷物の量やその日の使い方に合わせて収納場所を変えられるのも楽しいですね。


最初にポケット構成を見たときは「そんなに入れる小物ないよ」と思っていたのですが、iPad miniが入ると知ってから使い道が一気に広がりました。
こだわりは、見えないところまで


僕がDIRACに惹かれた最後のポイントは「裏地のこだわり」です。
裏地には、落ち着いた質感のナイロン生地が使われており、接触冷感のタオルケットのような肌触り。



とにかく気持ちよくて、特に用もないのにバッグの中に手を突っ込みたくなります。


ちなみに、この生地はナイロンの「タスラン」という素材だそうです。
▼こちらの動画で言及されていました。
タスランは表地に使われることが多い上質素材みたいなのですが、DIRACではそれを惜しげもなく裏地に使用しています。
僕は、こういう細かいところまで徹底的にこだわっている製品に弱いんですよね。
だって、ひとつでも多く売ることを考えるなら、目に見えない部分はできるだけコストを抑えたくなるものじゃないですか。
特に、DIRACはダイニーマ素材や美しいシルエット、独特なポケット構成だけでも十分に魅力的な商品に仕上がっています。
さらに、個人のプロダクトなら、限られた予算や生産数のなかで、価格とのバランスを取る必要もあるはず。
それなのに、実際に使うまで気づかないような裏地まできちんとこだわっている。


こうした作り手のこだわりを感じると、少しくらい価格が高くても「使ってみたい」と思うし、手に入れた後も大切に扱いたくなりますよね。
そんな細かなこだわりにも惹かれた僕は、応援の意味も込めてDIRACを購入することにしました。
DIRACを使ってみて気になったところ


DIRACは素材が面白く、デザインもかなり気に入っています。
一方で、毎日背負う相棒として使うには、ユーザーに慣れや工夫が求められる製品であるのも事実です。
トップハンドルを持つと上部がたわむ


まず気になったのが、上部のたわみ。
ダイニーマモデルだけかもしれませんが、荷物を入れた状態でトップハンドルを持つと、上部が中央に寄るように「くたっ」となるんですよね。
そのせいで、ファスナーが開けにくくなります。
たとえば、電車の中でバッグを手に持ったまま中の荷物を取り出したいとき。
ファスナーを開けようとしても、バッグの上部が中央に寄ってしまうので、たわんだところまでしか開きません。


結局、ファスナーをしっかり開くには、片手でバッグ本体を抱えるように支えながら、もう片方の手でファスナーを引く必要があります。


これが地味に面倒なんですよね。
個人的には、トップハンドルの取り付け位置をもう少し工夫してもよかったのでは?と思っています。
たとえば、ARC’TERYX VEILANCEの「Nomin Pack」のように少し斜めに配置するだけでも、持ち上げたときの力のかかり方は変わりそうです。


DIRACはトップポケットに多くの小物が入るので、ハンドルをアップデートするともっと使いやすくなると思いました。
ショルダーストラップの長さが変わりやすい


ショルダーストラップの長さが変わりやすいのも、地味にストレス。
特にサイドポケットにアクセスするために片側を下ろすと、左右の長さが大きくズレてしまう場面が少なくありません。


サイドポケットが使いやすいDIRACだからこそ、余計に気になってしまうんですよね。
一応、付属のゴムバンドをバックルの付け根あたりに固定しておくと、ストラップの長さは変わりにくくなりました。




ただ、これだけだと今度は余ったベルトがぷらぷらしてしまう。そこで僕は、モンベルの「テープクリップ」を追加購入してまとめています。


とりあえず解決はしましたが、今後さらに改良されることがあれば、ストラップの素材やバックルの形状も変わっていくと嬉しいなと思っています。
どのファスナーを開けるべきか迷うことがある


DIRACはポケットがかなり多く、収納を細かく使い分けられるのが魅力です。
一方で、外側から見るとファスナーがたくさん並んでいるので、「あれ、どこを開ければよかったっけ?」と迷うことがあります。
特にバッグを背負ったままサイドポケットを開けるとき、ひとつ隣のPCコンパートメントを開けてしまって「モノがない!?」と焦ることが多々ありました。
最初は、ファスナーの位置を少しずらしておくことで見分けやすくしていたのですが、使っているうちにそれも少し面倒に。



毎回ファスナーの位置を気にするのがストレスでした。
そこで僕は、サイドポケットのファスナーにVictorinox(ビクトリノックス)のジッパープルを取り付けています。


これなら、見た目でも、触ったときの感触でも「これはサイドポケットだ」とわかります。



デザイン的にもさらにカッコよくなりました。
NOMANZ_GEARでも「PLANCK」というジッパープルが販売されているので、バッグと合わせて購入してもいいかもしれませんね。
サイドポケットの閉め忘れで中身が落ちる可能性がある


DIRACのサイドポケットは、背負ったままでもアクセスしやすいのが便利です。
ただ、その使いやすさゆえに、ファスナーの閉め忘れには注意が必要だと感じています。
特にスマホや財布、鍵などを入れている場合、歩いている途中やバッグを下ろした際に、中身が落ちると大惨事になるので要注意。
なので、サイドポケットに大事なものを入れる際は、紛失防止のアイテムを導入したほうが安心です。
幸い、DIRACの両サイドポケットにはループが備わっており、そこに引っ掛けるキーリーシュも付属しています。


僕はこのキーリーシュに、リッジマウンテンギアの「Travel Pouch Plus」をつないで、貴重品や小物を入れるようにしています。


ちなみに、このポーチもダイニーマ素材です。
せっかくならDIRACに合うポーチを使いたいと思い、楽天市場で探して購入しました。
また、鍵や社員証などはキーリールを使えば落下を防げます。
僕は「キーバック」という製品を使っているのですが、コードが丈夫なので安心感があります。


究極の素材を「日常の相棒」に。


DIRACの開発者リュークさんによると、この製品は「バッグマニア向け」に作られたそうです。
つまり、誰にとっても使いやすいを目指したわけではなく、バッグ好きが「こういうのが欲しかった」と思えるものを突き詰めた製品というわけです。
実際、ポケットやファスナーの配置は、万人が使いやすいように整理されたバッグとは違います。
正直に言えば、ちょっと使いにくい。


それでも、
- ダイニーマの独特な質感
- 芸術品のような美しいシルエット
- 細部に感じる開発者のこだわり
こうした魅力が、使いにくさを上回って「これを背負いたい」と思わせてくれるんですよね。


一方で、普段から愛用しているAer City Pack Pro 2(20L)も、僕にとっては手放せないバッグです。
こちらは収納力や背負い心地が気に入っていて、DIRACとはまた違った魅力があります。


なので、しばらくはこの2つを気分や用途に合わせて使い分けていくつもりです。
今までの僕なら、同じようなバッグを2つ持つのは「無駄」だと考えていたと思います。
でも、DIRACに出会ってからは、使いやすさだけでは測れない「持ちたい」という気持ちも、モノを選ぶうえで大切だと思うようになりました。


これからDIRACを使い込むことで、ダイニーマがどんな表情に変わっていくのか。
究極の素材を日常の相棒として使いながら、その変化もじっくり楽しんでいきたいと思っています。
▼DIRACの全容は、開発者のリュークさんの動画で詳しく語られています。

















