期間工には「正社員登用制度」があり、試験に合格すれば大企業の正社員になれます。
とはいえ、「期間工から正社員になると具体的に何が変わるの?」「若いうちは期間工のままでもいいんじゃない?」という人もいますよね。
そこで今回は以下を解説します。
本記事の内容
- 期間工から正社員になると起こる変化
- 期間工から正社員になるための条件3つ
- 期間工から正社員になりやすい人とは
この記事を書いている僕はトヨタの工場で正社員を9年経験し、実際に正社員登用された期間工を何人も見てきました。
期間工と正社員に大きな違いがあるわけではありませんが、それでも大企業の正社員になれればそれなりにメリットがあります。
この記事を読めば、期間工と正社員の違いがわかり、正社員登用制度を受けるかの判断材料になるでしょう。
ちなみに期間工と派遣社員の違いはこちら

期間工から正社員になると起こる変化

期間工から正社員になると以下のように変わります。
- 社会的信用を得られる
- 昇給とボーナスがある
- 出世のチャンスがある
- 給料が一時的に下がる
- 仕事の責任が重くなる
- ライン外残業が増える
前半3つがメリット、後半3つがデメリット。つまり良いことばかりではありません…笑
順番に解説します。
①:社会的信用を得られる
正社員は期間工に比べて雇用が安定しているため、社会的信用が高くなります。
「社会的信用が高いと何がいいの?」というと以下のとおり。
- クレジットカードの審査が通りやすくなる
- 家や車を買う際にローンが組みやすくなる
- 恋人の親から結婚のOKをもらいやすくなる
トヨタの社員だと20代でマイホームを建てている人も多いし、僕自身も20歳のときに300万円の車を5年ローンで購入できました。
それくらい大企業の社会的信用は大きいです。
②:昇給とボーナスがある
正社員になれば年を重ねるごとに給料が上がるし、ボーナスも支給されます。
トヨタなら10年くらい働くと年収600万円。さらに役職が付いている人なら700〜800万円は超えるでしょう。
期間工にも昇給や満了金はありますが、どんなに頑張っても年収500万円が限界です。
「同一労働同一賃金」で正社員と期間工の格差が小さくなったとはいえ、長い目でみると正社員のほうが圧倒的に稼げます。
③:出世のチャンスがある
期間工はずっとライン作業をやらされますが、正社員になればライン外や管理職に出世することが可能です。
ライン作業から抜けられれば、「体が痛い」とか「単純作業ばかりで頭がおかしくなりそう」なんて悩みから卒業できます。
もちろん、正社員になってもライン作業から抜けられない人もいますが、ラインを抜けるチャンスをつかみ取れるのは正社員のみです。
④:給料が一時的に下がる
ここからはデメリット。
期間工から正社員になると給料が下がります。
なぜなら、正社員になると会社の最底辺からスタートになるからです。
期間工の給与は「30代前半」に設定されていますが、正社員になると「20代前半」の給与になるんですよね。
具体的にいうと「年収50~100万円」は下がると同僚が言っていました。
昇給があるとはいえ、いきなり年収が下がるので生活水準の見直しは必須です。
⑤:仕事の責任が重くなる
期間工は、言われたことを黙々とこなしていればいいだけなので気楽でした。
しかし、正社員になると仕事の責任感を問われるようになります。
具体的には…
- 重要度の高い工程を投げられる
- 作業の遅れやミスで叱責される
- 効率化や品質改善を求められる
こんな感じです。
期間工のときは甘やかされるところでも、正社員になると「正社員なんだからしっかりしてよ…」と言われるようになります。
まぁ社会人として当たり前なことを求められるだけですが、気楽に働いていたい人にとっては精神的にきついかもしれません。

⑥:ライン外残業が増える
期間工は生産ラインが停まれば帰宅してOKでした。
しかし、正社員になるとラインが停止してからも残業しなければいけないときがあります。
具体的には…
- QCの勉強や発表会
- 各工程の改善作業
- ミスの手直し作業
こんな感じです。
QCとは、Quality Controlの略で「品質管理」のこと。作業の効率化・原価低減・ミスの削減について話し合って、資料にまとめて上層部に発表します。
また、自分の工程はもちろん、期間工の工程の改善作業(工具の位置を取りやすい位置に変えるとか)も正社員が残ってやります。
ライン外の人は、作業者がミスした車両を直すために残って作業をします。
サービス残業ではないから稼ぎたい人はメリットかもですが、早く帰りたい人はデメリットですよね。
期間工から正社員になるための条件3つ

ここまで期間工から正社員になると起こる変化を解説しました。
「じゃあどうやったら正社員登用されるの?」というと以下の3つの条件があります。
- 1年以上期間工をしている
- 上司から推薦を受けている
- 正社員登用試験に合格する
順番に解説します。
①:1年以上期間工をしている
期間工から正社員になるには、そのメーカーで1年以上(最低でも半年)働いた実績が必要です。
まぁメーカー側に立つとわかりますが、3ヶ月だけでは「本当に真面目なのかな?」とか「途中で辞めないかな?」とかいろいろ不安ですよね。
なので、まずは1年くらい真面目に働きましょう。
真面目に働いていると1年経過したくらいのタイミングで「正社員になる気ある?」みたいな紙が届くみたいです。
ちなみに派遣社員はNGで、もしメーカーの正社員になりたいなら1度退職して、期間工としてもう1年働く必要があります。
②:上司から推薦を受けている
正社員登用試験を受けるには、上司からの推薦も必要です。
上司といっても直属の上司(組長・班長)なので、真面目に働いていれば基本的にOKしてくれますよ。
詳しくは後述しますが、あまり難しいことではありません。
③:正社員登用試験に合格する
上司から推薦を受けたら試験を受けましょう。
試験の時期は年1回だったり、4ヶ月ごとにあったり、メーカーによって異なるので確認してください。
試験の内容もメーカーで違うと思いますが、だいたい以下のはず。
- 集団面接
・正社員になる理由
・今までの作業内容
・会社に貢献できるか - 筆記試験
・国語(漢字)
・数学(計算)
・SPI(一般常識)
上記を受けたら、だいたい1ヶ月前後で結果が通知されます。
ちなみに合格率は10%という噂です。
期間工から正社員になりやすい人とは

「期間工から正社員になりやすい人は?」というと以下のとおり。
- 年齢が20代〜30代前半
- 欠勤・遅刻・早退がない
- 報連相がしっかりできる
- 社内行事に参加している
- 忙しい工場で働いている
ネットでも言われているし、実際に僕がいた職場でもこれに当てはまっている人が合格していました。
①:年齢が20代〜30代前半
年齢制限があるわけではありませんが、やっぱり若いほうが受かりやすいです。
企業も少しでも伸び代のある人を採用したいですからね。
これは製造業に限定した話ではなく、ほかの業界でも同じなので仕方ありません。
厳しいことを言うと、年齢ではじかれるのは今まで努力してこなかった自分が悪いです。
とはいえ、30代後半で受かった人もいるみたいですし、一生懸命アピールすれば可能性はありますよ。
②:欠勤・遅刻・早退がない
これは社会人として当たり前のことです。
前述したとおり、正社員になると仕事の重要度が増します。
なので、欠勤・遅刻・早退があると「自己管理ができない=責任感がない」と判断されて受かりません。
③:報連相がしっかりできる
報連相(報告・連絡・相談)もしっかりできるようにしましょう。
報連相がしっかりできれば、上司との信頼関係が生まれるので推薦してもらえます。
たとえば、作業ミスをしてしまったとき…
- ミスを隠さないで伝える
- 原因をはっきりと伝える
- 再発防止を考えて伝える
こういったことを当たり前にしていれば「こいつとは一緒に働ける」という評価をもらえるでしょう。
「ミスが多いと評価下がりそうだな…」と思うかもですが、嘘がバレるよりは全然マシです。
嘘がバレると一発アウト、レットカード退場だと思ってしっかり報連相をしましょう。
④:社内行事に参加している
飲み会やイベントなどの社内行事に参加するのも大切です。
というのも、正社員になるとコミュニケーションが重要になるから。
たとえば、正社員はラインを円滑に回すように連携をとったり、新人が馴染めるような雰囲気を作ったりする必要があります。
そのため、社内行事に協力的でないと「この人は正社員になっても仕事できないだろうな」と判断されるんですよね。
なので、社内行事が苦手であっても期間工の間は参加するようにしましょう。
⑤:忙しい工場で働いている
自分が勤めている工場が忙しいかも重要です。
なぜなら、生産が忙しいメーカーほど正社員登用に積極的だから。
生産が忙しいとラインを速く回すため、多くの人を雇う必要があります。下手な期間工や派遣よりも、やる気のある人を正社員登用したほうが効率的ですよね。
正社員登用に受かるかどうかは「タイミング」に左右されることが結構あります。
なので、期間工から正社員を目指す人は、残業の多い工場を選ぶといいですよ。

まとめ:やりたいことがない期間工は正社員を目指そう
期間工から正社員になるメリット・デメリット
- 社会的信用を得られる
- 昇給とボーナスがある
- 出世のチャンスがある
- 給料が一時的に下がる
- 仕事の責任が重くなる
- ライン外残業が増える
さいごまで読んでいただきありがとうございます。
期間工から正社員になると起こる変化について解説しました。
正直にいうと、期間工から正社員になったところで現状はあまり変わりません。
今は大企業でも一生安泰ではないし、元期間工が出世するにはよほど人手不足じゃないかぎりありません(新卒が優先される)。
なので、ほとんどの人は、期間工をしながら別の仕事を探したほうがいいですよ。
とはいえ、正社員登用されると「一時的な安定」は手に入るので、やりたいことが見つからない人は正社員を目指してみるといいでしょう。
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